あの日の慕情


体中を染め始める  赤柘榴が
また新しい時を忍ばせて
登る石段さえ  赤緑(せきりょく)の葉が
敷き詰められる

蝉時雨  鳴きやんで
線香花火  すぐに消えて
大騒ぎした記憶の欠片を
あの日に置いてきた

あの時の溢れるような
木漏れ日は
よく仰向けになって感じていた
刹那に
記憶辿れば行き着く
たくさんの思ひ出たち

街中を占めている  緑銀杏が
この小さな肩に降り注いで
いつしか街は  次への時へと
姿を変えていく

深緑の木々  木陰を作って
潮騒香る波  砂の文字消して
刻まれた記憶の欠片を
いつまでも握り締めている

あの時の大騒ぎした時は
僕たちは
よく無邪気になって笑っていた
刹那に
みんなと感じれば行き着く
多くのこだました笑い声

あの季節に慕情を感じては消えてゆく
この体はいつしか木枯らしを感じ始めた

あの時の溢れるような
木漏れ日は
よく仰向けになって感じていた
刹那に
記憶辿れば行き着く
たくさんの記憶の欠片たち

あの時の大騒ぎした時は
僕たちは
よく無邪気になって笑っていた
刹那に
みんなと感じれば行き着く
多くのこだました笑い声

遠く、遠く聞こえる夏の声と笑い声
遠く、遠く離れてく夏の日が切なく・・・





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